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…もう笑うしかねえよな。

「…大丈夫か?清水…」
桜場が俺の目尻に右手の人差し指で触れた。
「ぅひゃいっ!?」

驚きすぎた俺は奇声をあげて跳び上がった。
「…本当に大丈夫か?…いろんな意味で。」
「っあ、はいっ!!だっだいじょっ…」
(っうわ)

桜場の 顔が ちか

「やめっ」
ドンッ、と桜場を両手で押した。ひとつ階段を下りて桜場に背を向ける。
そしてあの言葉が聞こえた。

『簡単に、好きだなんて言うなっ…』

「うあ゛ぁぁああぁ!!」
あまりの赤っ恥発言に俺は叫ばずにはいられなかった。
(あーもうキモいウザい何いってんだ俺ぇえ!!)

冷静になってみれば。

『…っ初めてだったんだよ…!!』
(……)
『忘れられるわけねーだろ…!!』
両手で頭を抱える。
(なななな何を血迷ったことをしてんだよ俺は!!)
結局俺は5分ほど桜場に…抱きしめられたまま泣いていた。桜場は何も言わなかったけれど。

「―っ…」
あったかくて
でっかくて

(…っもう最悪だっ…)
心拍数はあがるばかりだった。
「…ぁ、のさ…」
「何だ?」
俺は決死の思いで話かけたっていうのに桜場はあっさり返事をしたから…なんだか悔しかった。
「…っお、お前、教室帰んなくていーのかよ。」

俺が横目で桜場をみながらいうと、彼は
「…すっかり忘れていた。」
と正直に返した。
桜場は右手につけた腕時計を確認する。

「…すまん、…授業が終わってしまうから行ってもいいか?」
こんな時でも授業に行くのか。
(…こんな時ってどんな時だよっ!!べつになんもねーし!!)
「…行けば。俺の許可なんかいらねーだろっ」
俺が階段の手すりをみながらそういうと、桜場はため息をついて階段を下りる。俺を追い越し、もうひとつ段差を超えると俺より頭の高さが低くなった。くりっと振り返って目を細めて俺に声をかけた。

「…目がまだ赤いし今の授業お前はここにいるんだよな。…1人で大丈夫か?」

じっとみつめてくる桜場

…何。なんだよ
『行くな』とか、言うわけねーだろ。俺が…っ
「っ…じゃ、質問いーですか」
「質問?」


ああ
恥ずかしくて死ねる

 



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