清水が
オレの目の前で泣いている。
「…え」
清水の言った言葉が理解できなかった。
『簡単に、好きだなんて言うな…!!』
(言ったのか…？オレが、清水に…？)
必死に考えたけれど、もちろん答えは見つかるわけもなくて。
「おい…清水…」
清水に触れようとして手を伸ばしたけれど、あと数センチのところで手を伸ばすのをやめた。それは、無責任に清水に思いを伝えてしまった罪悪感からくるものなのだろうか。
「…っ」
本当は、好きだなんて伝える気はなかった。清水とオレの間にはたくさんの壁があって、それを越えることは簡単ではなくて、
清水に告白したって、気持ち悪がられるだけだと思っていた。
だけど、今、清水は
オレが言ってしまったことに対して
悩んで
…泣いている。
ふと、手元をみると
さっき伸ばすのをやめたはずの両手が拳をつくって震えている。
「くそっ…お前なんか…大きらいだ…っ」
そう言いつつも泣き続ける清水を見て
今まで閉じ込めていた気持ちを抑えることができなくなった。
気がつけばオレは清水を抱きしめていた。
「…清水、好きだ。
軽い言葉なんかじゃない」
あぁ。
オレは 本当に
コイツが好きなんだな。