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後藤が"その場所"を指差し、俺は"その場所"を瞬時に左手で押さえた。
後藤のアホが大きな声で叫んでしまったせいで、その言葉は教室にいた全員の耳に入った。

『キスマークだぁっ!?』
(っ最悪だっ!!)

教室中の奴らが俺をみた
そして かけよってくる。ずらりと周りを囲まれた。
「み、見せてみろよ清水っ!!」
小林が顔を近づけてきた
「ち、違っ…んなもんねーよ!!」
首もとを押さえたまま右手を突き出してぶんぶんと振る。言葉とは真逆に、俺はハッキリとキスマークがあることを認めていた。

(クソ、あの時かっ…!!桜場のヤロォっ!!)
「じゃーみせろよ。ないんなら見せられるだろ?」
「っ…」
ごもっともなことを長谷川が言った。
(あ〜ちくしょうっ!
この人数には勝てねぇよ!!!!)
「まっ…まさか、童貞すてたのか!?」
「ハァ!?」
「彼女!?どんなコだよ!?友達紹介して!!」
「なんでそんな話に!?」
「お前どうやって寮抜け出したんだよ!?教えろ!!」
「…だから昨日眠れなかったんだ?」
「後藤っ!!お前話ややこしくすんな!!」
四方を囲まれて逃げられない。高校2年にもなってキスマーク1つでこの騒ぎ。
…全寮制男子高校生とはむなしい生き物だ。

「だからっ…これは彼女とかじゃなくてっ!俺はっ…!」
(ぁああ〜っもう何なんだよ!!なんで俺がこんな目にあわなきゃなんねーんだ!!桜場ふざけんなよ…!!)
「ったくめんどくせぇなっ!!」
「えっ!?」
長谷川が俺の左手をつかんだ。
「正直に話せば解放してやるからさァ。昨日のこと話せ。な?」
「かいほーって…ちょ、待っ」
じりじりとクラスメイトが近づいて来る。ゴツい高校生男子の圧迫感。
(くそ、ざけんな助けに来いよ!!
―桜場っ!!!!)


「何やってんだお前ら!!」



 



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