「―ちぇ…」
俺の席は窓際の前から2番目。数歩歩いて後藤と距離をとり、壁にもたれた。
(…眠れるわけねーだろ…後藤のアホめ…あ、あんなことされて…すぐ、なんて…っ)
右手で唇に触れる。すぐに、今朝のことを思い出した。
少しずつ心臓の鼓動がはやくなる。あっさり消えたファーストキス。
そして…
『好きだ』
「っ…!」
自分の顔が赤くなったのが鏡を見なくてもわかった。誰にもみられないように下をむく。汗がにじんだ。全身が震える。
(…お、乙女か俺はっ…!!)
顔がアツい。俺は手際よくネクタイを緩め、シャツのボタンを外した。
(…これで少しは楽だな)
「…なぁ清水もしかして怒っ…」
後藤が目を見張ったまま固まってしまった。
「しっ清水…!!お前、その首っ…!!!!」
「あ?首が何―…」
「キスマークっ!!!!」
「―へっ!?」