そして
さっきと同じように首を右に傾けて迫ってきた。
(またかよっ…)
ついさっきされてしまったことを思い出し、俺は逃げるように顔を反対側に背けた。
(に…っ2度も…されてたまるかっ!!)
「……」
桜場は自分を見ない俺を上目遣いでみつめ、そのまま噛み付くように
首筋にキスをした。
「ッ…!!」
びくりと体がふるえた。
無意識に桜場の肩をつかんでいた俺は、うまく力が入らないなりに必死にこの男を引きはがそうとした。密着していると、桜場の体からする酒の臭いがより一層濃くなって。
なんだか
すごく 嫌で。
それでも桜場の力には勝てない。
(っくそ…馬鹿力っ…!)
そのまま桜場は首筋をキツく吸い上げ俺の体はびりびりと鈍くしびれた。
「ぅアッ…」
(ーッ!!?)
出したことのない声がでて、慌てて右手で口を押さえた。
(!? !? なっ、なんだよ今のっ…!?)
自分ですら聞いたことのない声をこの男に聞かれたかと思うと顔がカッとあつくなった。
「ちょ、桜場っ!!変だ、やめろ、はなせっ!!」
(やばい、なんだこの感じ、なんでっ…!!)
桜場はわざとらしく、音をたてるようにくちづけをした部分を舐めた。
「!!ーんッ…」
手で口を押さえたまま声を必死にこらえる。
それでも
ざらりとしたものが触れる感じたことのない感覚に吐息がもれた。
(何、やってんだよっ…!!)
俺がジロリと桜場をにらむと、桜場が俺の顔を見つめていたから
僅かながらも
心臓が跳ねた。