「…っ!?」
(な、なんっ…)
しかし、桜場は俺が抵抗を始める前にあっさりと離れ、その目で俺をじっとみつめた。
(…今、こいつ…俺にっ…)
頭がじんじんと痛むような感覚がして 心臓の鼓動がはやくなっていく。
(…なんか、なんかいわねーとっ…!)
焦りながらも俺は桜場から目線を外し、右手の甲で口元をふくと…桜場の体からする酒の臭いと同じ臭いがした。
キスをされたんだと
あらためて実感する。
「…っさく…らばっ!テメっ…何、すんだよっ…」
声がふるえる。
心臓の音がうるさくて、自分の声がどこか遠くから聞こえているようだった。
「清水…」
(…っ)
ドクン、と心臓が大きく波うった。
さっきまでろれつもまともにまわってなかったくせに、
急にはっきり名前を呼ぶのはずるいだろ…
と 思った。