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▼ 蝶よ、花よ。

「今日も怒っているの?可愛い顔が台無しよ。」

私がそう問えば、彼女は眉毛を釣り上げて
「別に怒ってません!」
と声を張り上げ私に見向きもせずズンズンと目の前を横切っていく。

胡蝶しのぶとそう言った会話をするのは、
彼女が入隊してからと言うもの毎日続けられてきたことだった。

「あんまりしのぶをいじめないで?」
くすくすと笑いながら私の頭を優しく叩くのは、姉の胡蝶カナエだ。

「だって可愛いんだもの。みて、プリプリしちゃって。
それで?今日はどうしてしのぶちゃんは大福さんになってるのかしら」
もう小さくなった背中を見つめながら、私は横に腰掛けたカナエに問う。
彼女はまたしても笑みを浮かべた。

「不死川くんがまた怪我をして帰ってきたからよ。怒っているようにみえて、心配しているのよ。しのぶは優しい子だから。」
「まぁ!しのぶちゃんの事ならなんでもわかるのね。ほんと、仲良し姉妹ね。」
ここで言葉を区切り、私はチャンスとばかりに袖に手をするりと忍ばせた。
「…私とも仲良くしてくれる?」
耳元で甘く囁くも、カナエは私の手をぴしゃりと叩く。
「おばかさん。まだ昼間よ。」
「残念。でも時間を選べないいのね?」
「さぁどうかしら。」
口ではそんなふうにいうカナエだが、その指は私の指と絡まっている。

…本当に、可愛い姉妹だ。
 


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