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▼ 私とRD

トルバドゥールでは、RDとよくお喋りをした。
倉木博士の事
いままでの生活の事
これからしたい事

そこで私は気になっていた、私は疑問点を口にした。
「ねえRD、どうしてクイーンは私を仲間に入れたいんだろう。」

私のハッキング能力…bloomが欲しかった、のだろうか?
確かにbloomは世界で私しか使えない。世界最高の人工知能RDでさえ、bloomは取り扱えない。
だけどbloomが使える私と、bloom以外すべてのネットワークを駆使できるRD。
RDさえいればbloomなんて必要ないはずだ。

『…実は私にもわからないんです。』
「やっぱり、クイーンさんの考えてる事は誰にもわからないんだね。」
『でも私は、ナマエがココにいることがとてもうれしい。』
「RD…うん、私も。RDは大切な友人で、家族なようなものだから。また一緒に住めて嬉しい。」

RDとは昔、一緒に暮らした事がある。
それは幼少期のたったの数週間だけだったけれど、その数週間の事はよく覚えている。
両親が仕事で倉木研究所に泊まり込みで仕事をしていた時だ。

それから数年後、私の両親は行方不明になった。
中学生までは色々な施設を転々としたけれど、高校生になって一人暮らしを始めた。
頼れる親戚なんていない、そう思っていたけれど倉木博士から高校一年になった頃連絡がきた。
あなたさえ良ければ一緒に住まないか

という内容だった。

幼少期にみた倉木博士はとても怖かった記憶がある。私と目線も合わさず、会話もなかった。
今思えば、大切な息子さんを亡くした後に、その息子さんと年の近い子供にやさしく接しろなんて、酷な話だ。

そんな博士が、一緒に住もうと言ってくれた。それだけで私は心が救われた。
博士に迷惑をかけるわけにはいかない。そう思ってその申し出は断ったけれど、それから博士とは文通をやりとりする仲になった。
その文通でしった。RDがもう倉木研究所にいない事。
どこに居るのかは教えられないといっていたが、RDのチャットアドレスを教えてくれた。
それからだ。RDとチャットをするようになったのは。

「私ね、倉木博士にも、RDにもとっても感謝してるんだ。」

突然消えた両親。見つからず、もう死亡扱いになっている。
あたりまえだった日常が突然閉ざされた私は、ただひたすらにパソコンに向き合い、bloomを開発した。両親を見つける為。
それでも見つからない両親、一人きりの家、全部、もう投げ出したかった。

そんな中、RDと倉木博士とのやりとりが、私をこの世界に留まらせてくれた。

『ナマエ…』

ふとそこでRDは思った。
もしかしてクイーンは、すべてを知っていてナマエをココに招いたのではないか。

RDの為、ナマエの為、トルバドゥールで、一緒に…。
クイーンなら、ありえるな。


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