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▼ こんにちは

『それでノコノコついてきたんですか?』

あきれた声のRDにナマエは肩をすくめる。
「RDならクイーンの性格上、私にコンタクトを取るなんてわかってたでしょう。」
『まさか直接日本の女子高生に会いに行くとは思いませんよ。下手したら誘拐ですよ。職質ものですよ。』
「下手をしなくても誘拐だよ。」
「ナマエ君、なにか飲むかい?ワインはダメだよ。日本の子は20歳からだろう。」

私とRDの言葉を無視して、うきうきとした様子のクイーンさんにため息を吐く。
ちょうど同じタイミングで、ドアが開いた。

「!…こんにちは。」
「…こんにちは。」
入ってきた人物…ジョーカーはナマエをみて驚くが、すぐに平静を装う。
まさか日本の学生だったなんて。そう顔に書いてあるジョーカーに、ナマエはすこしムッとする。
女子供だと舐めている。そう捉えたのだ。

『ジョーカー紹介します。クイーンにも改めて。ミョウジナマエ。私の友人です。倉木研究所で、私が作られているときに知り合いました。ナマエ、彼がジョーカー。クイーンの仕事上のパートナーです。』
「改めましてどうも。」
「RDが作られているとき…?」
「…倉木さんと両親が知り合いなんです。」
握手をするべきか悩んでいると、ジョーカーが不思議そうにつぶやいたので、それだけ答えて目をそらす。

『それでナマエ、なんでトルバドゥールに?クイーンが無理やり連れて来たんですか?』
それについて答えようとした時、オレンジジュースを運んで来たクイーンさんが答えた。

「安心したまえRD、誘拐じゃあないよ。“気まぐれの魔法使い”を頂戴するって予告状はまだ出していないからね。」
『ナマエ!自分の正体までばらしたんですか!?』
「言ってないよ。なんか知ってた。」
「気まぐれの魔法使い?」
首をひねるジョーカーにRDが答える。
『ナマエのハッカーとしての名前です。』
「違う。周りが勝手に呼んでるだけだよ。」
あ、このオレンジジュース美味しい。
『クイーン…あなたナマエの事を何処まで調べたんですか。』
「さぁ、何処までだろうね。」
ちらりとジョーカーを見るクイーンに、私とジョーカーは首を捻る。

「それよりもだ。半年後、君の卒業式、私は気まぐれの魔法使いを頂戴したい。しかし君は世間に正体を隠している。そこでだ。気まぐれの魔法使いは私が盗む。同時に、君…ミョウジナマエは私達の仲間にならないかい?」

だから進路を聞いたのか。先程の会話を思い出し納得する。

しかしまぁ結構これは魅力的なお誘いだ。

気まぐれの魔法使い…独り歩きした私の名。これがクイーンのもとにあると解れば、私を狙ってる幾つかの組織はあきらめるだろう。
私が気まぐれの魔法使いとバレる事がないよう配慮して、トルバドゥールに置いてくれるという事だ。うん。悪くないな。

「クイーン本気ですか。相手は高校生ですよ」
「お言葉ですが」
ジョーカーの言葉にナマエはついに反論した。
「確かに私はあなたより弱い。でもそれはフィールドが肉弾戦の場合だけだ。
私のフィールドはネットの中。その中ならあなたより有能です。クイーンさん。その話お受けします。」
ジョーカーに喧嘩を売る形で、クイーンさんの話を勢いで了承してしまった。
まぁなんとかなるだろ。

「よろしくね。先輩。」
「…。」




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あとがき

修正前は無気力な子だったのに10年越しに文章を修正したら
性格が変わってしまいました。

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