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▼ 誘拐ですか?

「どうぞ。」


お茶を出しながら、自身の家の中に怪盗クイーンがいる。その不思議な状況にナマエは困惑していた。
が、まぁそういう事もあるかと自身を納得させる。
ナマエは切り替えが早かった。

「ありがとう。さて、君がミョウジナマエ君か。うん、驚いた。まさかまだ高校生だったとは。」
「もうあと半年で卒業ですけどね。ラストJKです。日本では女子高生の事、JKって呼ぶんですよ。」
「卒業後はどうするか決めているのかな?」
話をそらそうとするナマエだが、気にすることなくクイーンは的外れな質問をする。
「…まさか進路相談をしにわざわざうちまで来たんですか?」
先程トルバドゥールにハッキングした事で来たと思ったのだが、彼、いや彼女?いや…怪盗クイーンは怒る様子もなくニコニコしている。

「違うんだ。すこし気になってね、単刀直入に言おう。次に盗む物を、君に伝えに来たんだ。」
「…。」

まさかの宣戦布告。
驚きを隠せないナマエとは違ってクイーンは「これおいしいね。」なんてのんきにお茶を飲んでいる。
ただの麦茶なはずなのに、クイーンが飲むと高級な茶葉を飲んでいるかのような雰囲気だ。

「…わかりました。その宣戦布告、受けて立ちますよ。」
いつもの無表情に戻り、ナマエは答える。が、
「ちがうちがう!宣戦布告なんかじゃないよ!」
顔をぶるんぶるんと振るクイーンに、すこし力が抜ける。
こんな間抜けな動作も、クイーンがすると綺麗な髪がキラキラと光り、なんだか優雅なしぐさに見える。
…いやいや思い出せ。この人は周りに迷惑をかけまくり、猫のノミとりばかりし、ワインのボトルを切断して怒られる人だ…。
「宣戦布告じゃないなら、なんで私に…?」
「君だからさ。」
「は?」

さすがのナマエも、無表情がとれ、ぽかんと口を開ける。
「次に僕が盗むのは、君だよナマエ」

綺麗にほほ笑むクイーンが、悪戯をする悪魔に見えた。
誘拐ですか…?



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あとがき
これはクイーン夢ではなくジョーカー夢です。

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