たとえ届かない人だとしても | ナノ
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▼ 湯上り効果

 
甘露寺様に遅れる事数分、いろんな意味で上がった熱を冷まして、里を歩く。
すると見知った顔が歩いていた。
あれは…

「弟!」
「あぁ!?」

しまった、つい声をかけちゃった。

「てめぇ…」
「や。馬乗りした時以来だね」
「死ね!」
「生きます。」
「このっ」
「元気?」
自分から声をかけた手前、無視するわけにもいかず私は彼に近づく。

「はぁ!?近寄るんじゃねぇ!」
「しかし道は一本だしなぁ…そこを通らないと私は帰れないし困ったな…。あ、なんなら一緒に温泉はいる?」
ぜんぜんもう一回入りたいし。といえば弟は顔を赤くして「ふざけんな!」と私を押しのけ階段を上がっていった。

…冗談なのに。もしかして案外可愛い性格なのか?

しばらく歩くとまた見知った顔を見かけた。
「炭治郎!」
「ナマエ!」
「もう出歩いて平気なの?」
「ああ。まだ任務は厳しいけど…今回は鋼鐵塚さんに用があって…ナマエは?」
「似たようなもん。私は刀が刃こぼれして…そういえば炭治郎は刀無くしたんだったね。」
そうだったと納得すれば、様子のおかしい炭治郎に気づく。
「どうした?」
「いや…はは。湯上りは少し照れるな。」
困った様に笑う炭治郎に、なんともこそばゆい気持ちになる。
女扱いにはなれていないんだ私は。
気恥ずかしくなり、じゃあお先に。またあとでね。と伝えて階段を駆け下りた。

うーん、少し照れるな。
そこでふと先程、弟とすれ違った事を思い出す。
今からあの二人一緒に温泉はいるの?なにそれおもしろい。
 

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