たとえ届かない人だとしても | ナノ
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▼ 我妻善逸は彼女についてこう語る。


ナマエちゃんは、不思議な音がするんだ。
なにかを思う強い音。でもとても優しい音。

ナマエちゃんと過ごすうちに気付いたんだけど、彼女、なんだかねぇちゃんみたいだよね。
俺に姉は居ないけれど、ねえちゃんがいたら、こんな感じなのかなって思うよ。
優しくて、厳しくて、しっかりしてて、たまに意地悪だけど。
ナマエちゃんといると、禰豆子ちゃんといるようなドキドキはないけれど、すごく安心するんだ。
たまに甘味をくれるんだけど、だからかな、いつも甘い匂いもする。


でも、それと同時に、ひどく悲しい音がするんだ。
ナマエちゃんから、っていうよりは、なんだろう。ナマエちゃんの中、奥深くから。
誰かの思いを時々感じる。


一度、町で似た音をした人を見たことある。
その人、人を殺して死罪になったんだ。

でもたまに、あれ?なんの音だろう?って思うくらいのものだし、俺の気のせいかもしれない。普段は甘くて、優しい音だし、気にしすぎだと思う。

けど、けどたまに、ナマエちゃんは俺たちの前からふらりと消えるんじゃないかって、なんだか不安になる時があるんだ。
 

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