たとえ届かない人だとしても | ナノ
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▼ 竈門炭治郎は彼女についてこう語る。


最終選抜の日、不思議な少女に出会った。
お面をかぶり、感情が読めない。あの時は性別すらわからなかった。
その少女は、すこしだけ悲しい匂いと、なんだか不思議な匂いがした。

数日後、とある任務でその子に再開した。
相変わらずお面をかぶっていて、淡々と鬼を斬る姿はなんだかすこし怖かった。
けれど、禰豆子の存在に気付きながら斬らないでいてくれた、不思議な人だった。

そしてあの夜。ナマエは泣いた。
禰豆子の姿をみて、ポロポロと涙を流した。

その時のナマエは、とても悲しく、とても優しい匂いがした。

いつしか共に行動を取るようになって、一緒に鍛錬をして、一緒に戦ってきた。
善逸や伊之助同様、大切な仲間だ。

けれど、ずっと気になっている事がある。
それは不思議な匂い。
ナマエ自身からする、というよりは、ナマエのその後ろ。彼女を強く思う、なにかの匂い。
それはとても悲しく、しかし禍々しく。
微かな匂いだから、勘違いかもしれない。気のせいかもしれない。
しかしたまに、不安になるんだ。
ナマエがいつのまにか、俺たちの前から消えてしまうんじゃないかって。
 

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