たとえ届かない人だとしても | ナノ
×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -


▼ 楽をするな。


二人が参加しないまま時はすぎ、私と炭治郎はカナヲちゃんに全然勝てず頭を抱えていた。

私とカナヲちゃん。二人とも継子ではあるが全然違う。
私は一応、継子と言われてはいるが、いまはまだまだ駆け出しだ。
この一年ではとにかく最終選別を合格するよう、最低ラインまでしか鍛えられていない。
なので私は継子なのに鬼殺隊員としてまだまだ未熟。
その点カナヲちゃんはもう立派な時期柱候補だ。

そういえば、その事で弱音を吐いた時、師範に殴られたっけなぁ。
『あァ?おまえはクソ雑魚の癖に他人と比べてる時間があるってのかァ?そんな暇あるなら、死ぬまで修行しろォ。』
あの時の師範が一番怖かった。本当に。殺されるかと思った。
不死川という男はガラが悪いし、顔も怖いし、おまけにガラも悪くて口も悪い。そしてやっぱりガラも悪い。だけど、だけどとても優しい人なのだ。
それを一度、アオイちゃんに伝えたら凄く微妙な顔をされた。
やっぱり師範、嫌われてる??


私とカナヲちゃん、なにが違うのか。
師範に聞いても多分教えてはくれない。
まず、今日まで何も言われていないと言う事は、自分で気付け。という事だ。
これまでの師範との修行を考えるとそれは間違いない。

「炭治郎。ごめん、暫く一人で考えたい。」
「わかった。ナマエにはナマエのやり方があるだろう。お互い頑張ろうな。」
相変わらずこの長男はすごく優しい。
頷いて、炭治郎と別れた。


「まず私とカナヲちゃんの違う所……カナヲちゃんは反射速度がすごくいい、目がいい、と思う。多分だけど。
あとは身体能力…だけど、筋肉量には私と大きな違いはないはず…という事は、筋肉の使い方がうまいのか?でもそれでいうと胡蝶様はそんなに筋肉がないのにとても早く動ける…。違いは、筋肉量じゃない……?筋肉の質、かな?」

考えろ、考えろ。いままでの師範との修行を思い出せ。何かあるはずだ。なにか…

『楽をすんじゃねぇぞォ』

ふと、師範が言っていた言葉を思い出す。
「たしか、、『楽をするんじゃない。お前の当たり前は俺たちの当たり前じゃない。それを肝に銘じておけ。』だったかな…。」

俺たちの当たり前…。
俺たちって誰だ?
師範と、そのほかの人

「もしかして、柱…?」

柱がしてる当たり前が私はしていない。という事、なのだろうか。


当たり前にしている事
それはなんだ。決まってる。日常的にするもので、なおかつ私達隊員に必要不可欠なもの。

呼吸。

「楽をするなって…もしかして…」

考えた事もなかった。いや、勝手にあり得ない事だと思っていた。
だって全集中の呼吸はとても疲れる。少しの間するだけでもかなりきつい。
けどそれは、私にとっての当たり前…。
師範達にとっては、常にする事が当たり前なのだ。
楽をするな。か。うん。そう考えると師範の言葉に納得だ。
「炭治郎にも伝えなきゃ…!」

この後、炭治郎を探していると、彼も私を探していたらしく、二人して全集中の呼吸だと声をそろえた。
 

prev / next

[ 目次 ]