テレビで彼をみた。もう慣れたものだ。
 新聞でも雑誌でも、「15歳の少年が英雄に!」とか「あの伝説に見初められた15歳の英雄」なんて言葉をつけられて、トウヤはいつも窮屈そうだった。
私はトウヤが旅に出たのがいいことなのか分からない。
インターネットの大型掲示板サイトによく悪い内容でトウヤのことを書き込んでいる人たちがいる。見ていると酷い内容で吐き気がする。それはインターネットだけじゃなくて、面白おかしく嘘でも簡単に書き立てる雑誌もだ。表紙に「15歳」「英雄」このふたつがあればトウヤのことだと思って間違いない。見るたびにぞわっとする。気持ち悪い。何故そこまで年齢を主張したがるのか持ち上げるのか分からない。最近はどこをつけても大体トウヤのことが話題に上がるんだから、見てられない。
 たまに、トウヤと電話をしてみる。あまり出れないけど、時々少しだけ話してくれる。自分を持ち上げる世間にトウヤも少し嫌悪を抱いているみたいだった。
「テレビに移るトウヤをみているとテレビにいるトウヤはもう死んでいて、私と電話しているトウヤだけが、生きている本物なんじゃないのかなぁって思うよ。きっとそうだ、そうだよね、トウヤ」


title/弾丸