※ポケダン

 「名前は人間だった頃の記憶がないんだったな」
うんと頷く。目が覚めたら、ポケモンになってたのだから。はじめてジュプトルに話しかけられた頃はポケモンがしゃべってる!という感動なんてなかった。ただただなんでポケモンがしゃべってるの!なんで私はポケモンなの!?と混乱しかなかった。脳天ではお星さまとアチャモがちかちかぴよぴよ。自分の名前しか記憶がなくてこれからどうしたらいいのかどう生きていけばいいのか、なにもわからなかった。そんな中ジュプトルが、手を差しのべてくれた。一緒に来るかと。私は神にすがるようにこくこく頷いた。私は度々、どうして助けてくれたのかと聞いてみたけど、ただの気まぐれだとはぐらかされてばかりだった。

 「よのわ、」
突然あらわれたヨノワールは、強かった。ヨノワールは歴史を変えれば私たちが消えてしまうと言った。どうやらそれは私たちを揺さぶるための嘘ではなく、代償と言ったところのようだ。一瞬戸惑ったが、ジュプトルと力を会わせて戦って、倒した。と思っていた。ヨノワールは完全に戦闘不能じゃなかったんだ!
「う、わあっ!」
油断しきっていた私はあっけなく持っていた時の歯車を弾かれてしまった。誰かがユダンタイテキって言ってたな。
「ヨノワール!!」
ヨノワールは後ろからきたジュプトルに捕まる。大きな体をジュプトルも全身を使って押さえ込む。
「ジュ、ジュプトル、何を」
ざわり、嫌な予感がした。ジュプトルはヨノワールがあらわれた、未来とこっちをつなぐ穴に向かっている。ジュプトル、答えてよ。
「お前と一緒に、未来へ戻る!」
ヨノワールは、どうしても戻りたくないのか未来へ戻れば二度とこちらには来れないんだぞと叫ぶ。う、うそだ。私は、ジュプトルがいなくちゃなにもできないのに、どうしろと。いやだいやだ、待って、おいてかないで


 ジュプトルは私に一言残して、未来に帰ってしまった。どうしてジュプトルは帰り際にあんなこと、
「お前、よくどうして助けたのかと聞いてきただろう」
「所謂一目惚れってやつかもしれんな」

返事、どこに出せばいいかくらい言っていってよ。