あ、吉川さんだ。今日も可愛いなあ。二つに結った髪はいつもふわふわで、前髪はぱっつん。どこをとっても本当に可愛い。友達に、なりたいなあ。…なれたらな。無理なんだけど。
吉川さんはいつも赤座さんとかと仲良しだし、今さら中にはいるのも気が引ける。うう、なんでもっと早くに仲良くなろうと努力しなかったんだろう…!やっぱりあれだ、私馬鹿だな。

「あ、お箸忘れちゃった!」
吉川さんがしまった!と言うように声をあげる。多分赤座さんが貸してあげるはず。
「ごめんねえ、今櫻子ちゃんにとられちゃった…」
櫻子ちゃんー…、大室さんが私の勝ちじゃーと言ってる。
…どうしようどうしよう…!私、割り箸もってる!ああでもいきなり話しかけたらなんだこいつって言われちゃうよね…。引かれちゃう。
「う〜、誰かもってないかなぁ…」
「あ、あの!!」
吉川さんが、私を見る。目が合う。どうしよ、私顔真っ赤だ。
「わ、私、割り箸持ってるから、ええと、その…よ、良かったら!!」
どうしてこうも口下手なのか。もっと自然に渡したかった…!
「いいの!?ありがとう、名前ちゃん」
ぱあ、吉川さんが私に向かって、笑う。えっ、ていうか、さっき私の名前!
…これだけで私、かなり頑張れちゃう。