「確かに、あなたは、私の娘ではあります」
「はい」
「しかし、あなたでは英雄にはなれません。要素が足らないようですから。仕方のないことです」
「…はい」
「ですから、あなたにはNの世話係をしてもらいます。良いですね」
「はい」
「では、頼みますよ。この玩具を与えてあげてください。ああ、あとこのポケモンも」
「わかりました、ゲーチス様」

 「Nは、どうでしたか」
「N様は、傷付いたモノズの手当てをされていました。…噛みつかれそうになっていましたが……」
「そうですか。ご苦労様です」
「いえ」
「もう、大丈夫ですから。あなたは休んで結構です」
「ありがとうございます。ゲーチス様も、お体にはお気を付けて」

 「おはようございます。ゲーチス様」
「ああ、おはようございます」
「…ゲーチス様、あの、」
「なんです」
「N様という名前は、ゲーチス様が?」
「…ええ、ですが名前なんて大それたものではないでしょう」
「それでも、羨ましい」
「…なにか言いましたか」
「いいえ、なんでも。お飲み物、持ってきます」


title/徒野