ピンポーン、チャイムが鳴る。ちなみにこのチャイムは吉田氏被害者の会の一員、平丸とは悪魔のチャイムと呼んでいる。私と平丸には、チャイムを鳴らす来客など吉田氏くらいしかいないから。(吉田氏被害者の会は私と平丸しかいない)…あああやばいやばい原稿終わってない終わる気がしないし終わらせようともしてないわ!!くそぉ!
さっとケータイをだし、新規メール作成。吉田氏が来ました と入力して送信。平丸はヒィィと叫ぶだろう。またピンポンピンポン鳴らすので、はーい!と言ってでる。長髪ぷるんぷるんナルシストが、立ってた。いつみてもムカつく顔をしてやがる。
「名前、原稿」
「…吉田さん!原稿の前に、美味しいケーキと珈琲がありますので、よろしければ一緒にお茶しましょう!うふ!」
「吉田氏だろ。かわいこぶっても騙されないし可愛くないからやめろ」
「チッ!…吉田氏、分からないことがあって」
は?と吉田氏がのってくる。よし、上手くやらなければ。これも吉田氏被害者の会の友、平丸の為だ!大体吉田氏は私のあとに平丸、もしくは平丸のあとに私というルートだ。だから先に来た方は上手く時間稼ぎをする。
「あのぉ、えっとぉ、実はぁー」
「うざいしゃべり方やめろ」
「…ラッコ11号の放送時間を教えていただきたい」
「平丸くんに聞け」
「えっ、でも、なんか聞きにくいしそれほど仲良くもないし?ね!」
どうしても、家に上がらせてはいけない。家に上がってしまったら完全に吉田氏に流されてしまう。玄関先で時間を稼がなくては…!
「…吉田氏被害者の会なんてのを作って、メンバーなのにか」
「な、なぜそれをっ……!?」
「平丸くんの家に会員証をみつけてね」
平丸…!!お前はバカか!?あのネガティブ野郎ぉぉ…!
「で、時間稼ぎはそれくらいにしようか」
「あ、あ…あの…え、えへへっ…」
いい笑顔の吉田氏に薄い笑いしかできなかった。こっからいつもの地獄ルート。もうやだ働きたくない。