「七峰くん!七峰くん、すごいね!」
「名前さん?なにが」
「だって、ネットで大反響じゃない!あれ、すっごく面白いもんね!編集さんはおかしいよ。ネットの人たちの方がみる目あるよねー」
「そんなことないよー。僕もまだまだだし」
「…その芝居いらないって」
あ、バレてたっけー。わざとあっけらかんに言う。名前は僕の本当の性格を知っている。ネットの人たちと話を作ってることまでは、知らないらしいけど。…まあそっちの方が面倒くないんだけどね。
「でも、本当に面白かった。七峰くんは才能あるよ」
「どーも」
気を使う必要がないのは楽だからいい。他の人に言いふらす気はないらしいく、本人に聞いたところ、そんなことしても自分の利益はないだの言っていた。
つまり、名前は気を許せる相手、ってそんなに甘ったるい展開のものではないけれど面倒な時は無視できる。一緒にいても疲れない相手だった。
 ところで、と名前が話をきりだす。
「担当さん、ついたんでしょ?」
「まあ」
「嘘、つき通すの?」
「んー…そのうちバラすっつか…疲れたら芝居やめるよ。担当の驚く顔楽しみだ」
「ほんと七峰くんって歪んでるわ。…じゃあさ」
「なに?」
「担当さんの驚く顔、写メってくれる、よねぇ?」
「名前もけっこうゲスいと思うけどね」