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彼は、えらく遠くにいってしまったのだ。
遠いって言っても距離の問題じゃなくて、分かると思うけど。
彼はホウエンを救ったと言っても過言ではないくらい。私は詳しく知らないし、知りたくもないけど。なんでも超古代ポケモンを静めたとか悪の組織を倒したとか。
はぁ、今日何度目か分からない溜め息を吐く。なんてったって、今日彼が長い旅から帰ってきてしまうんだ。

「…久しぶり」
「おう。元気してたか?」
「あー、うん…そこそこかな」
なんだよそれ、と変わらない笑顔のユウキをみるとなんともいえない感覚だ。
「…元気なくないか?」
「そんなことないよ」
ふうん、とユウキは納得いかなそうに目を細める。
まあ、何でもいいけどさ、と言いユウキはんしょ、と私のとなりに腰を下ろした。
「俺、なんだかんだで全然変わらないここが一番落ち着くんだよね」
なによそれ。強気でふんっと鼻を鳴らす。
「名前が変わっちゃうと、落ち着く場所なくなっちゃうじゃん」
へへっ、とユウキは昔から変わらない笑顔を浮かべた。なんだ、こんなに近いじゃん。

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