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「××、聞いてくれるかい。僕のはなし。ポケモンは人々から解放されるべきなんだ!・・・」
私は、一日に何回この話を聞けばいいんだろう。もう聞きあきちゃったよ。
「僕のはなし、どうだった?××」
「私、××なんて名前じゃない。私は名前っていうの。何回も教えたでしょう」
「ははっ、何をいってるんだい?名前なんて名前しらないよ。君は××。そうだろう?」
「……違う、違う」
Nはずっと、二年前に現れた英雄に向けて話している。Nからみた私は、私じゃなくて××なんだって。だからNは名前という女の子を知らない。目の前の私を知らないのだ。
「××なら分かってくれると思ったんだけど。だってこんな世界じゃポケモンが可哀想じゃないか!こんな狭苦しいボールに閉じ込められて、傷付けられて!ポケモンは、幸せを知らないんだ!!だから僕は思う。ポケモンを人々から解放すれば!ポケモンは幸せになれる!今まで僕が見てきたポケモンたちは、悲しみ苦しんでいた。ポケモンはみんなそうなんだろう?××!」
「N、違う。Nは傷付いたポケモンしか知らないだけ。幸せなポケモンだって、いる」
「…そうだね。××、二年前に出会った君のポケモンは幸せだと、言っていたね。だけどそんなポケモン少ししかいない。みんな苦しんでる」
愛を知らないNは、愛を知っているポケモンを受け入れられない。だけど私はNの愛を知りたいよ。