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もふっとしたボリュームのすごい栗色の髪。それによくはえる赤色のサンバイザー。くりっとした目。つまるところ、キョウヘイくんは可愛らしい。昔から弟みたいだ。キョウヘイくんも名前姉名前姉と慕ってくれた。キョウヘイくんも私も一人っ子だったから本当の姉弟のように寄り添ってきた。
「名前姉、今日はなに作ってるの?」
「んー?甘酸っぱいレモンパイだよ」
後ろのソファでくつろいでるキョウヘイくんが小さくやった!と呟いた。可愛いなぁ、本当に。
「はい、どうぞ」
「わっ、美味しそう!いただきます」
今紅茶もってくるからねと言った私の声が聞こえてないのか、早速レモンパイにかぶりついている。
「あー、やっば名前姉のつくるお菓子は美味しいな!」
「ありがとう。作りがいがあるよ」
私もレモンパイをひとつ食べる。キョウヘイくんはもうふたつめに手を伸ばしている。
「レモンパイは甘酸っぱい。甘酸っぱいのは初恋の味なんだって」
キョウヘイくんはぽつぽつ話し出す。
「?どうしたのキョウヘイくん」
「名前、」
「きょ、きょうへ、」
いきなり呼び捨てにして私の肩に手をおく。キョウヘイくん!という前に唇をふさがれた。
「!」
「名前は無防備すぎるんだよ。もうちょっと危機感持った方がいいんじゃない?」
「キョウヘイくん、あの、」
キョウヘイくんはみっつめのレモンパイにかぶりついて、笑った。
「いつまでも可愛い弟じゃないんだぞ」

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テーマ「人外ファンタジー」
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