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「…そう…。音楽…やめ…」
「…残念だけど…お…が……」
「じゃあ…は?あの子は…」
「容量も…だし…アンイ……方が……じゃないかな」

ぼそぼそマスターとマスターのお姉さんが話している。声が小さくて聞き取りにくいけど、なんだかシンコクな話なのかな?顔が暗いし、マスターは俯いてる。
マスターがこっちに歩いてくる。あ、新しい曲を作るのかな?マスターの作る曲、大好きだから楽しみだなあ!
「リン、」
なあにマスター!リン、今すぐにでも歌えるよ!
「あなたと、今日でさよならしなくちゃ、いけないの」
え?
「うち、お父さんがすごく厳しくて、今まで音楽もワガママ言ってやらせてもらってたの。だけど、そろそろ、ダメって」
マスターがぽつりぽつり震えながら話す。ねえマスター、そんなジョウダン、やめてよ。リン、まだ歌えるんだよ?歌いたいんだよ?
「…リン、ごめんね。リンのおかげで今までの一人暮らしもすごく楽しかった。リンにあえてよかった。私、本当にしあわせものね」
マスター、違う、リンはそんな言葉いらないよ。もう一回歌わせてよ。ねぇ、マスター、マスターっ!!
「…こんなマスターで、ごめ、ん、なさいっ…」
マスターが、泣いた。知ってた。今までにもよくマスターはオトウサンのことを言ってた。早く帰ってこいってうるさいとか、電話がしつこくてこまるとか。
「リン、リン。本当に、本当にありがとう。ずっと大好きよ」
目に涙うかべて薄ら笑いのマスターは、そのままパソコンにうつる私をじっとみて、また少し泣いて、実行のキーを叩いた。

まって、まって、まだ私、マスターに言いたい言葉、言ってない。マスターばっかりずるいよ。リンからも、言わせて。
「ァ…リガ…ト」

(ノイズでかきけされた言葉)
(とどいていますか?)

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