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「とーしのーきょーこー!!」
「あり、綾乃じゃん」
「まったくもう、あなたはまたプリント提出忘れて!」
「あはは、ごめん!今書くよ」
顔をピンクにしながら杉浦先輩が歳納先輩に注意して、歳納先輩が笑う。
きっと、これが杉浦先輩のいちばんの幸せだと私は思っている。
「あら、名字さん。おはよう」
「杉浦先輩。おはようございます」
紫のきれいなポニーテールをゆらし、杉浦先輩は私に笑顔で挨拶をした。
「うふ、なんだか、珍しいわね」
「…何がですか?」
「名字さんと二人で話すなんて、なかなかないでしょう?」
ふふ、可愛らしく笑って、杉浦先輩は嬉しいことを言ってくれる。
「…先輩は歳納先輩と二人で話したりしないんですか?」
「っえ!?ななな、何で、そんなことっ?」
分かりやすい人だ。手をぶんぶん縦にふりながら鞄で顔を隠す。バレバレですよ。
「頑張ってくださいね」
「も、もう!先輩をからかうのは罰金バッキンガムよ!!…あ!歳納京子っ!」
でた、先輩の大好きな歳納先輩。ちらちらと歳納先輩をみてる。
「行ってきたらどうですか?」
「え、でも」
ちらり、眉をさげて私をみる。ああ、なるほど。先輩はとても優しい。
「私も、もう教室に行きますから。ね」
「え、ええ…。頑張ってみるわ!」
ありがとう、と笑ってとーしのーきょーこー!とお決まりのセリフ。顔をピンクにしながらお、おはよう。と。
(私には、あんな顔見せてくれないのにな)
先輩との時間も先輩の気持ちも奪っていく歳納先輩はずるい人だ。