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わたしは死んだ、死んだのよ。とさらさらと綺麗な髪をゆらして目の前にいる彼女がいった。
「でも、あなたは生きていますよね」
「ええ、そうね。生きているわ、確かに存在している。存在していながらも死んでいるの」
ちぐはぐでわけが分からない。どうして存在しながら死んでいるなんて言うんだろう。この人は。
「あなたは、生きています」
「…そう、じゃあ逆に聞くけど」
かつかつ、静かな空間に彼女の黒いヒールの音だけが響く。じわり、背中に冷や汗が伝う。いつの間にやら彼女は鼻がくっつきそうなほど近付いていた。
「あなたの中でわたしはどんなわたし、かしら」
「…強くて、優しくて、いつも頼りになる、」
「そう」
私の言葉を遮って彼女が口を開いた。
「なら、言わせてもらうわ。あなたのわたしはわたしじゃない。ただの理想よ」
「私は、ずっとあなたの背中を追いかけて、」
「もう追い抜いてるわよ」
え?と声をもらす。どうしよう、嫌な汗がとまらない。どうして、どうしてそんな目でみるんですか?
「あなたはわたしをとっくに追い抜いてる。あなたの中の理想のわたしはとうの昔に死んだわ」
じゃあ私が今まで必至に追いかけてきたのは、一体なんなんですか?勝手にイメージして、理想でごてごてに固めて、もう本当のあなたが分からないんです。本当のあなたなんてあっちに飛んでって忘れちゃった。あなたに追い付くために、それだけを思って必死に勝ち進んできたんですよ。ねぇ、
「シロナ、さん…」
You who were idealized
 理想化されたあなた

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テーマ「人外ファンタジー」
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