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いきなりだけど、名前さんの話をしようと思う。名前さんはすごく素敵な女の人でバトルが強い。人間としてもトレーナーとしても、私の理想の女の人だ。初心者でぐだぐだと旅をしていた私を優しくサポートしてくれた時もあった。お世話になった場面なんて数えきれない。名前さんが、好きだ。
そんな素敵な名前さんは今度、結婚する。相手はシンオウとは違う暖かい地方のチャンピオンらしい。彼はとても石が好きでなんだか可愛いの。そういとおしそうにうっとり名前さんが言っていた。(でも石が好きなチャンピオンってなんだろう。)私は何度も何度もおめでとうございますを練習した。にっこり笑って、決して泣いたりしないように。もし泣いても誤魔化せる言葉を考えて。優しい名前さんはよかったらと式に誘ってくれた。今はその優しさが胸をちくちく刺す。大丈夫、大丈夫だ。言い聞かせて式の扉をあけた。ら、そこには綺麗なドレスに身を包んだ名前さんが色んな人からの祝福を受けていた。どくん、心臓が重たくなる。
「ヒカリちゃん!きてくれたのね!!」
ぱあっと花がほころぶような笑顔を私にむける。それ以上の笑顔を独り占めできるのが私だったらどれほど幸せだったか。
「綺麗、ですね。とっても綺麗です。名前さん」
「ふふ、ありがとう、ヒカリちゃん。きてくれてすごく嬉しいわ」
「あの、名前さん」
「うん?」
「おめでとう、ございます。本当に、おめでとうござい、ます」
嘘つき、そんなことこれっぽちも思ってないくせに!
ありがとうと名前さんが笑った。名前さんが他の人に呼ばれてじゃあねとあっちに行った。私はトイレにかけこんだ。
「名前さん、名前さん」
うぇうぇと嗚咽をと涙を溢しながら名前さんの名前を呟く。
「名前さぁん、」
甘ったれた私の声はただただ狭苦しい空間に響くだけだった。