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「名前って、ほんとなにやっても駄目よね」
二人でなかなかお目にかかれないヒウンアイスを食べていたときにトウコちゃんの口からそんな言葉がでた。
確かに私はバトルも、ミュージカルも、遠いところのコンテストも何一つ得意なものはないとは思う。トレーナーとしてかなり致命的だし何とかしなきゃと思いながらもパートナーのエルフーンは可愛いし、一緒にいるだけでいいなあと思ってしまうのだ。
「否定しないの?」
「私、トウコちゃんの言うとおり駄目だし」
やんわりそう言うと、トウコちゃんは顔をぐにゃっとしかめた。あ、どうしよう。トウコちゃんがこの顔をしたときは大体納得がいかないときだ。しくじったな、と思った。
「なによ、それ」
いつもより低い声でトウコちゃんが言った。
「駄目だし、じゃないわよ。なんで、なんであんたはいっつもなに言われても反発したりしないわけ?いつもうんそうだねって頷いてて、楽しい?あたしそういうの嫌いなの!名前は自分の気持ちを、ちゃんとーー」
「トウコちゃんにはわかんない、よ」
「…はあ?何が分からないって言うのよ」
「つ、強くて、なんでもできて…っ、そんなトウコちゃんに、私の気持ちわかんないよ!」
トウコちゃんは一瞬怒ったような、悲しそうな顔をした。私は慌ててヒウンアイスをべちゃりと地面に落とし、そこから逃げ出した。アイスはもうじわりと溶けだしているのだろう。

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