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いつも教室の隅っこ、ていうかあたしのとなりの席でぼーっとしていて時折眠そうに目を瞬きしたりはぁ、と溜め息をついたり。テストがいつも100点満点の如月くんはそんな人だ。
いつかはくる「日直」。今日はあたしと如月くんなのだけど、あたしが休み時間に黒板を消していてもまったく気付いてないらしく、あたし一人ですべての仕事をこなした。だけど、日誌くらいは如月くんにも少し書いてもらわないと、担任から書き直しをくらうかもしれない。そういうわけで、今から、昼休みで人が少ない教室で、あたしは如月くんに初めて話しかける。
「如月くん」
「は、い?」
少しびっくりしたように、如月くんが振りかえる。あ、まともに顔をみたの、初めてかもしれない。
「…んと、今日日直、あたしたちだから。あとで日誌…」
「あ、悪い。名字さんに任せてたな、放課後残ってる」
「…あたしの名前」
「え?」
「あたしの名前、知ってたの?」
きっと知らないと思ってた。勝手なイメージだけど、クラスの人の名前すら覚えてなさそうと思っていた。
「そりゃ、クラスメイトだし」
当たり前だろ、という風に如月くんが返事をする。
「でも、全然話したことないのに?」
「そんなに俺が名字さんの名前知ってるの、おかしいか?」
「あ、そういうわけじゃ!」
「…ははっ、名字さんって面白い人なんだな」
如月くんが笑った!目を細めて、おだやかに笑う。その顔があまりにもきれいでみとれていたら、午後の授業の始まりを告げるチャイムがなった。ぼんやりとした私の頭にうっすら、さっきの如月くんの顔がうかんで少し笑ってしまった。

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