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「きゃ〜〜〜」
静かなテンガン山に、似合わない悲鳴が聞こえた。誰だろうとあたりを見渡す。と、目の前に一人の女の子がいた。ばたばたとこっちに走ってきている。
「そこの人〜〜、わ〜っ」
そこの人、とはおそらく、いや絶対僕だろう。ここには今彼女と僕しかいないから。
「ど、どいて、いや走ってくださ〜〜〜い」
走る?なんで?僕の疑問は瞬時解決する。
「うわ!ポケモン…!?」
彼女が走るうしろにノズパスの群れがいる。ノズパスはあまりでてこないはずなのに大量のノズパスがどすんどすんと、慌てる彼女を追いかける。なるほど、おそらくは彼女がノズパスの住処にでもうっかり入ってしまったのだろう。ノズパスはすっかり怒っているようだ。ここは走って逃げるよりノズパスを散らす方が早いだろう。
「ちょっと、うしろにいてね」
えっ?と彼女が頭にはてなを浮かべる前にボールをとりだす。彼女は状況がわかってないのかきょろきょろしている。
「でてこい、ドダイドス!」
ドスッと重い音をたててドダイドスが鳴き声をあげる。ほんとならじしんを決めたいところだけどこちらにも被害が及ぶし、広範囲に影響を与えるのはあまり良くない。
「ドダイドス、はっぱカッター!」
威力はあまり良くないけど効果はばつぐんだし、倒すのが目的じゃない。目的どおりノズパスは住処に戻ったようだ。
「うわあ、すごいですね!」
ぱちぱちと彼女が拍手をする。…そんな場合じゃない気がするなあ。
「て、まずはお礼ですよね!すいません、ありがとうございました」
「いいよ、気にしなくて」
「あの、なにかお礼を…」
「じゃあ一緒にヨスガまで行こうよ。君もヨスガに行くんでしょ?」
「えっ、あ、はい。でも…そんなので良いんですか」
うん。にっこり笑って彼女の手をとると少し顔を赤くしては、はい、と頷いた。

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