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「朝ちゃん」
露骨にきれいな顔をしかめて名前をにらみつける。しかし名前は動じることなくへらへら笑う。朝衣は名前の余裕のある表情が余計に嫌いらしい。
「…あなたにその呼び方は許可していないわ」
「えー?朝ちゃんをどう呼ぼうがあたしの勝手でしょ。そこまで指図しなくて良くない?」
「あの」朝衣にこのような口をきくのは恐らく名前だけだろう。親しい葵でさえ敬語を使っているのに。
「だから、辞めなさいと言っているでしょう」
朝衣は心底苛々していた。最近調べなくてはいけないこと、更に生徒会の仕事も多く、勉強との両立もなかなか大変で寝不足が続いている。そこに、この名前だ。朝衣の苛々を更に掻き立てた。
「ん〜別に朝ちゃんの邪魔しにきたわけじゃないよ?って、いつもだけどさ」
あははとのんきに笑う名前に、「あなたがいるだけで邪魔よ」聞こえないように朝衣はぼそり、小さく呟いた。
「はい」
名前が朝衣の机に無造作においたそれは、朝衣の好きな野菜サンドだった。横にはちょこんと紙パックの紅茶も置かれている。
「…なによ」
「たまにはさ、息抜きも大切だよー?どうせ朝衣のことだから生徒会の仕事と勉強の両立!とかいって寝不足なんでしょ」
ぎくり、その通りだった。朝衣はなにも言い返せずただじっと名前をみている。じゃあ、と手をひらひらふって名前は生徒会室からでた。
「…余計なお世話よ」
ふん、と朝衣は小さく、強気に言った。

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