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ふたりでひとつ

crik / シェーディ
執筆中の短篇の一節


 胸がどきどきする。バトル終わりに立ち寄ったカフェでアイスコーヒーを飲みながら、エイトは気持ちを落ち着かせようとした。しかしどうしてもそわそわが止まらなかった。___のことが、気になって仕方ない。
 彼女が立ち去ってから、エイトはほとんど正気を失っていた。その状態でブキのメンテがうまくいくわけもなく、その後のバトルでは最中にネジが一本弾け飛んでしまった。インクは漏れるわ、ただでさえブレやすい.96ガロンの弾が更にブレるわ、大惨事だった。フェス前だからレートを上げておきたいのに……下がってしまった成績を見ながらエイトは焦りを覚えるが、その焦りは___への想いに勝ることはなかった。
 ペールブルーのインクカラーだった。キャップから僅かに覗くゲソの色をエイトは思い出す。ああいう色が好きなのかな……。
 空想に耽けるエイトに、携帯電話が新着メールの通知を報せる。エイトは画面を見た。シェーディからの返事だ。
「三日後の正午にロビーで」
 相変わらず簡素なメールだった。遅くなってごめんとか当日はよろしくとかもないなんて、とエイトは思ったが、不思議と苛立ちは湧いてこなかった。シェーディの向う側には___がいる。エイトにとってシェーディは、今やちょうどよい対抗戦相手というだけでなく、___との希少なハブなのだ。まるで___から連絡がきたみたいに、エイトの気持ちは浮き足立っていた。
 にしても、妹にも同じ格好させてるなんて、シェーディにも変な趣味があったものだね。
 からからと氷の音を立て、エイトはコーヒーを飲み干した。あらぬ勘違いを、本当のことと信じきって。
じつはこの短編、三角関係です。折り返し地点まできたかなってところ。ワイヤーグラスくん出したいけどこの人のことをわたしはまだよく把握できていない……

2023/07/19
創作メモ