高遠 | ナノ


 高遠さんが逮捕されてから二ヶ月が経とうとしていたが,私はいまだそのショックから立ち直れないでいた。
朝起きて,ご飯食べて,落ち込んで,学校に行って家に帰って,落ち込んで,ご飯食べて,落ち込んで,寝るという味気ない生活をずっと送っている。
どうしてあのとき取っておかなかったんだろう。次あの目に会えるのはいつだろう。と考えるのはそればかりだった。
羊は目を開けてくれない。

次の日が休みの夜は,ときどきお目目を探して辺りを徘徊した。でもどれも全然きらきらきらーとしているようには思えなくて,前に比べて取る回数はぐっと減った。その上取ったとしても返すのがいやに面倒くさくて,私はチューリップの世話をすることにした。
毎日水を遣るとチューリップは元気に咲いてくれた。枯れるまでに帰ってくるといいなと思っていたが,帰ってくるはずもなく。仕方なくチューリップの次は野イチゴを植えた。
私はそれらの芽が出る頃に引っ越すことに決めた。この辺も警察が増えてきた。今度は高校の近くにしようかな。

左目
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