中編 | ナノ


 しばらくして宮田さんは帰ってきた。すみません、と一言言うと車を出し、帰路についた。


 車内の空気は張り詰めていて、なにか話せるような雰囲気ではなかった。私は外を見つめ、さきほどの出来事を思い返していた。
 ……私って、必要だったのかな。そんなことをふと思った。懐中電灯を持って辺りを照らしただけ。それに最後は宮田さん一人でやっていたし……。あれでいて怖がりなのだろうか。そんなわけ、……ないか。



 程なくして見慣れた我が家についた。なんだかひどく懐かしい。

「おやすみなさい」

車を降りそう言うと、宮田さんはそっぽを向いたまま
「おやすみ」
と言った。そしてすぐに車を出した。車が見えなくなるまで見送って、私は家の中に入った。時計は3時を指していた。もうこんな時間……。今日が日曜日でよかった。そう思いながらベッドへ潜り込んだ。

「おやすみなさい」

独り言を呟いて、目を閉じた。今日は起きるまで寝ていよう。


121108 おやす美奈さい



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