中編 | ナノ


 病院はずいぶん前に消灯時間を迎え、すっかり暗くなっていた。私は裏口から入り、少し早足で院長室を目指した。理沙さんはまだ文句を言っていて、私はなんども謝った。

「宮田さん」

 こんこん、と軽くノックし、返事を聞いてから中に入る。私たちを見て彼は驚いた顔をした。

「市子さん? それに……」

私は理沙さんの手をようやく離し、彼女にもう一度謝った。

「突然ごめんなさい、理沙さん。……宮田さん、彼女は美奈さんの妹です」

言いながら彼の方を向くと、彼はひどく冷たい目をしていて、心臓が飛び跳ねた。

「突然すみません。あの、」

気づいていないのか、姉の所在を聞こうとする彼女に、宮田さんが一歩、また一歩と近寄っていった。



121111 更新遅れました。すみません。また夜更新します



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