夜、また玄関のチャイムが鳴った。昨日と同じように返事をしてドアを開ける。私はそこに立っている人物を見て、小さな悲鳴を漏らした。なんで、なんで? 彼女は昨日……。いや、落ち着け。私の勘違いだったんだ。ただの思い込み。あれは違う人だったんだ。自分にそういい聞かせ、目をぱちくりさせている美奈さんに笑顔を浮かべて言う。
「ごめんなさい、美奈さん。私、怖がりでしょう。だから」
「ま、待って! 私、理沙です。美奈の妹の」
今度は私が目をぱちくりさせた。妹……? 双子か? じゃあやっぱり昨日のは……。いや、それよりもいまは、えっと、理沙さんをどうにかしなければ。私は消えかけていた笑顔を再び顔に張り付けた。
「どうしたんですか?」
「実はお姉ちゃんが昨日から家に帰ってきてなくて……。なにか知りませんか?」
蛇ノ首谷です。なんて……、言えない。どうしよう。どうすれば……。宮田さんならこんなとき……こんなとき……、わからないや。あ! そうだ。宮田さんに相談しよう。それがきっと一番だ。
「びょ、病院、かな? 案内、しますよ!」
「病院ならもう……。今日は来てないって」
そ、そうか。そうだよね、うん。宮田さんには会わなかったのかな。どうしよう。えーと、お、押し通す! で、いいのかな。
「も、もう一回行くべきです! 行きましょう!」
私は彼女の手を掴み強引に引っ張った。扇風機もテレビも消してないけど、仕方ない。
121110 節電しよう
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