私はもうとっくに知っていた。私が行動を成功させると、時がループし始めるということを。八尾さんを殺した時、堕辰子を倒した時、宮田さんが牧野さんを殺すのを阻止した時。他にもたくさんの時がループした。
それでも、私は認めなかった。認めたら、もう二度と立ち上がれないような気がして。
でも、もうそんなのどうでもよかった。もうすべてがどうでもいい。そう思ったはずなのに、白衣の燃えカスを見た途端、私の目からはもう枯れたと思っていた涙がこぼれ落ちた。どんな姿であっても宮田さんは宮田さんなのに、私にはいままでの彼が死んでしまったように思えた。
「いい加減、諦めないと……」
長い夢から醒めて、私は歩き始める。宮田さんに会わなくては。私が死ぬために。そして――彼にさよならを言うために。
140730
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