「宮田さんは……これからどうするんですか」
病室で眠る須田くんと依子ちゃんを尻目に、宮田さんに尋ねた。宮田さんは輸血の準備をしながら、
「さあ」
と答えた。
「なまえさんは?」
「私は……、宮田さんについていきます」
「そうか……」
宮田さんはそれきり黙ってしまった。須田くんの血が依子ちゃんの中へ入っていくのを、私も黙って見ていた。しばらくして、私はずっと考えていたことを聞こうと口を開いた。
「宮田さんは、」
元の世界に帰りたいと思いますか。しかしその問いは、外から聞こえたガラスの割れる音に遮られた。ふたりして扉の外を見つめ、そして顔を見合わせた。
「見てきてくれ」
私は首を横に振った。ここで出ていけば、私がこの部屋に帰ってきたとき、宮田さんはいなくなっている。服の裾をきゅっと握り、彼を見つめた。
「一緒に来てくれませんか」
「このふたりに何かあったらどうする」
「でも、……わかりました」
これ以上拒否すれば、宮田さんは自分が見に行くと言い出すだろう。きっとそのまま帰ってこない。それならば、急いで見に行って急いで帰ってきた方が、まだ可能性がある。私はパイプを握り外へ出た。
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