八尾さんはどこにもいなかった。ただ時間が過ぎていくばかり……。こんな自分が情けなかった。もうどうすればいいのかさえわからない。今回は、いつもより悪いな、と自嘲気味に思った。くよくよしていても仕方がない……か。そう思い、止めていた歩を再び進めた。もうすぐ蛇ノ首谷だ。あそこにはこの時間、彼がいるはずだ。一旦合流しよう。
やはり彼、宮田さんはいた。私を見た彼は少し驚いた顔をしていた。
「なまえさん、今までどこに……」
「すみません、勝手にいなくなってしまって」
「いや……。無事でよかった」
そう言う宮田さんの顔は笑っていて……、嬉しかった。
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