長編 | ナノ


 そうだ。思い出した。私は何百、何千回とこの世界を、この三日間をループしているんだ。最後の映像……。あれは、一番初めに見た光景。あの時私は腰を抜かし、自らの命と引き換えに苦しむ人々を助ける宮田さんを、ただただ呆然とみていた。しかし彼がいなくなったあと、私は猛烈に後悔した。そして泣きながら彼を追いダムに飛び込んだ。確かに頭のかち割れる音を聞いた。それなのに、私は目を覚めし、五体満足の状態でダムのそばに倒れていた。記憶を失っていた私は状況がわからなかった。だが、しばらくして出会った志村さんから、村が異界に取り込まれたということを聞き泣き喚いた。そんな私を不憫に思ったのか、志村さんは私を同行させてくれた。しばらく志村さんや依子ちゃんと行動を共にしていくうちに、私は記憶を取り戻した。そして今度こそ宮田さんと共に彼らを助けるためにダムへ向かった。しかし時はすでに遅く、私が到着したときには宮田さんの姿はなかった。ショックで気を失った私は、再度記憶を失い目を覚ました。
 気が遠くなるほど三日間を繰り返してきたが、二度目以降、宮田さんが彼らを助ける姿を見たことはない。

 ――でも、今度こそは。絶対に宮田さんと共に彼らを助ける。諦めたりなんか、しない。



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