長編 | ナノ


 ――私、怖いんだ。この世界が。
今まで怖くなかったと言えば嘘になる。しかし、宮田さんと一緒にいることで恐怖はいくぶんか和らいでいた。いま初めて宮田さんが近くにいなくなったことで、私は震えるほどに恐怖したのだ。

「怖、かった……」

鼻がつんと痛くなって、目の奥が熱くなったと思ったら、私は柄にもなく泣いていた。

「置いて、行かないで、ください……」

宮田さんは驚いた顔をしたあと、ふっと笑った。

「大丈夫だ、安心しろ」

宮田さんがそう言ってくれるだけで私は嬉しくて嬉しくて。笑って頷いていた。

「行こう。理沙さんが危ない」

「はい」

今度は私を気にかけながら走ってくれる宮田さんの後ろを、私は追い掛けた。

120408 いつか書き直す



×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -