私はきつく唇を結んだ。恩田美奈は屍人になったのか? 屍人になってなお、宮田さんを探しているのか? ……そんなこと、許せない。宮田さんは絶対に渡さない。返り討ちにしてやる。私だって、……宮田さんが好きなんだ。
「なまえさん?」
「え? あ、宮田さん」
名前を呼ばれいつの間にか俯いていた顔を上げると、宮田さんが眉間に皺を寄せ立っていた。
「……少し休むといい」
宮田さんは着ていた白衣を脱ぐと、私にかぶせた。驚いて目を見開くと、彼は
「無いよりましだろう」
と言って机の横にある椅子に座った。私は礼を言ってベッドに横になった。白衣は、宮田さんの匂いと少し血の匂いがした。恩田理沙はいまだ外を見ている。
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