小説 | ナノ

 悲しくなった。すると、涙が込み上げてきた。私は情けない顔を見られたくなかったので、急いで近くの部屋に逃げ込んだ。

 ギャリーったら、ひどい。私のこと置いてきぼりにして、女の子探すんだもの。それに、私のこと蹴飛ばすし。ちょっと道塞いだだけで、あんなに怒るなんて。 極めつけに、私の宝物盗っちゃうし! とっても大事にしてたのに、ひどいよ!
 と、ぷりぷり怒っていると、突然、部屋に誰かが入ってきた。反射的に扉の方を向くと、ギャリーがいた。謝りに来てくれたのね! でも、私、本気で怒ってるから、許してあげないもん。あ! そうだ。良いこと思い付いた!
 私はくすくすと笑いながら、お腹に鍵を入れ、隅に隠れた。

「あそぼうよ、ギャリー」



 ちょっと遊んだあと、私たちは談笑を始めた。ギャリーと向かい合わせに座れて、私、嬉しい!

「マカロンが美味しい店見つけたの。今度ふたりで行きましょうね、名前」

「うん、絶対に行く。約束だよ!」

 絶対だよ。絶対。約束だからね。破ったら、私、どこまでも追いかけるから。ね、ギャリー


120422
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