小説 | ナノ

 誰かが私を呼ぶ声で目が覚めた。そっと目を開けると、ぼんやりと黒い何かが見える。これは……

「名前さん! 起きてください」

「牧野、さん?」

「はい」

なんで私の部屋に……。私まだ寝てるのかな。ということは、これは夢。……なんだ夢か。じゃあまだ寝ていよう。

「なにまた寝ようとしてるんですか!」

「まきのんもおいで」

そう言って、私は彼の腕を掴み布団に引きずりこんだ。ぎゅうと腰に抱きつくと、上から牧野さんの慌てた声が聞こえた。私はふふ、と笑って彼の胸に顔をうずめた。

「牧野さんの匂いがするよ」

「なにを言っているんですか名前さん! ……名前さん!?」

「おやすみ、なさい……」


120323 このあと牧野も寝る
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