宮田さんが好き。牧野さんも好き。淳くんはお気に入り。最近は須田くんが気になる。石田さんもちょっと見惚れちゃったり。
そんな私が目を覚ましたのは、冷たい手術台の上。体を動かそうにも四肢についた拘束器具が邪魔で動かせない。
「何よ、これ……」
どうにか逃れようと暴れるが、体力が無駄に削がれるだけで成果は得られなかった。
むしろ、悪いものを呼んでしまったかも知れない。部屋の扉がキィと開いて、宮田さんが入ってきた。
「おはようございます」
彼はどこか嬉しそうな声音でそう言うと、近付いてきて、私の頬を厭らしく撫でた。
「宮、田さん。どうして……」
「どうして? わかっているでしょう」
わからない、ということは、ない。きっと宮田さんの独占欲だとか、支配欲だとか。きっとそう言うものの表れなんだろう。
「どうする気ですか……?」
込み上げる恐怖心を抑え込み聞くと、彼は狂喜に歪んだ笑みを浮かべた。
「名前を私だけのものにするんです」
次の瞬間、頭に耐え難い痛みが走った。薄れゆく意識の中、ネイルハンマーとメスを持った宮田さんを見て、ひどく後悔した。
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剥製は××する