小説 | ナノ

※M向け 台詞が臭い

 事務室のぴかぴかに磨きあげられた床に頭を擦り付けた。頑張って巻いた髪も、いつもより上手くひけたアイラインも、マスカラもチークもリップとグロスも、土下座のせいですべて無駄になった。

「申し訳ございませんでした」

 そう言った直後に頭を革靴でぐりぐりと踏まれ、また泣きそうになる。

「お前のミスのせいで店が潰れかけたんだ」

「はい……」

 今日、沼を点検するのは私の当番だった。店長が私を信用して任せてくださった仕事なのに、あろうことか私は忘れてしまっていて。店長が気付かなければ本当に店が潰れていたかも知れない。
 自分の阿呆加減に腹がたつ。どうして忘れていたんだろう。しかし後悔しても時既に遅し。そう思うとますます情けなくて、涙が堪えきれなくなった。

「本当に、申っし……訳、ございません……! い、以後このような事が、ないよっ、う、よりいっそ、う勤務に、励みますので……っどうか、どうかご容赦ください……!」

 ハァ、という大きな溜め息とともに、店長は足を下ろしてくださった。礼を言おうと頭を上げると、とても冷たい、まるでゴミでも見るかのような目で私を見る店長と目があった。

「謝罪はもういい。その代わり」

「……ぁ、あぁ……」

 彼の手に握られていたのはいつも私刑に使うあの機械。先程とは違う涙が、次々と頬を伝う。逃げようにも足が言う事を利いてくれない。背中に嫌な汗が伝い、全身がガタガタと震える。そんな私を見て、店長はにやりと笑った。

「お仕置きだ」

「い……いや、嫌ぁ……嫌ぁあああ!」


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