※二年後ショック
大好きだった。貴方の後ろ姿が。貴方の横顔が。貴方の声が。貴方の髪が。貴方の手が。――貴方の事が、大好きだった。
「沖田さん」
それなのに、彼は変わってしまった。何もかも。私の愛した彼はもういない。もうあの頃のように笑い合えない。
「なんでィ」
沖田さんは玉座に座ったまま、余裕の笑みを浮かべそう言った。私は腰から刀を抜き、それを彼に向けた。
「貴方を、倒しに来ました」
言った刹那、私は間合いへ踏み込む。首を狙い大きく刀身を振ると、刀同士がぶつかる音がした。簡単に倒せる相手だとは思っていない。私は続けて突きを繰り出す。また、金属音が響く。
それを幾度も繰り返し、よくやく決着がついた。負けたのは、私。刀を吹っ飛ばされた私は、地面に膝をついた。首には、彼の持つ刀。
「名前」
沖田さんが静かに私の名を呼んだ。
「裏切ってくだせェ」
彼の哀しそうな瞳が揺れた。……そんなことが出来るなら、もうとっくにしてる。それが出来ないから、こうなったんじゃない。わかってるでしょ、沖田さんなら。
私はゆっくりと首を横に振り、そして言った。
「さよなら、沖田さん」
彼は自嘲気味に笑うと、何か小さく呟いて、刀を振り上げた。
しばらくして私は目を醒ました。首と手足に枷を嵌められ、猿轡をされた状態で。目の前には、笑う彼がいた。
120126