そういえば、しげるくんって腕相撲強いんだろうか? 男の子と言えど年下。……もしかしたら勝てるんじゃないだろうか。
そこまで考えて、私はにやりと笑った。いつもの仕返しだ……!
「しーげるくん! 腕相撲しよ」
そんなわけでなぜか私の家で寛いでいるしげるくんに勝負を仕掛けた。
しげるくんはいつもの無表情で「いいよ」と言った。私がちゃぶ台の上に腕を乗せると、しげるくんも腕を乗せた。握ると、しげるくんの手は少しひんやりとしていた。
「よし、じゃあ行くよ。……レディー」
「待って」
不意に、しげるくんがにやりと笑った。
「この勝負、負ける事に一枚服を脱ぎませんか」
ギラギラと光るしげるくんの目。これは、狩る者の目……! 背中に嫌な汗が伝う。この勝負、早く下りなければ!
「わ、私やっぱり」
「名前さん」
握ったしげるくんの手に力がこもる。手が、離せない!
「いいですね」
いいも何も離す気ないでしょ! ……こうなっては勝つしかない。年上を、甘く見るな!
「レディー、ゴー!」
私の掛け声から始まったこの勝負。気付けば私の手の甲はちゃぶ台にくっついていた。見え、なかった……!?
「さあ、脱いでください。……それとも、脱がせましょうか?」
そう言い、喉を震わせ愉しそうに笑うしげるくん。
――私は、死を悟った。
この後も勝負は強制的に続き、私は負け続けたのだった。
120122 ごめんね