小説 | ナノ
TITLE:宇宙船が墜落した日
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放課後の国語準備室には、先生と私だけ。少しでも長く一緒にいたくて、先生のお手伝い中。
明日使う予定のプリントを整理していると、ふわり、煙草の匂いが鼻腔をくすぐった。匂いの元は無論先生。窓際の椅子に座り、空を見上げながら煙草をふかしている。
「先生。先生もやってくださいよ」
「いま一服中」
空を見上げたまま、私を見ようともせず呟く先生。私は態とらしく溜め息吐いた。それから先生の隣まで椅子を引っ張り、私も空を見上げた。
「プリントは?」
「終わりました」
自分から聞いてきたのに、ふーん、と興味なさげに言って、先生は空に煙を吐いた。それは揺らめいて、消えた。
まるで先生のよう。そう思うと、目の前が滲んで、心臓が押し潰されそうになった。
「先生、」
この気持ちを消す方法を私は知っている。やっと私を見た先生にキスをするだけ。
すぐに唇を離して、先生の白衣の裾を掴んだ。今度は先生が溜め息を吐いて、そして煙草をもみ消す。
「みょうじ、」
貪るような深いキスをして、私たちは暗闇に溶けた。
左薬指の日焼け痕には、気付かないふり。
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