小説 | ナノ
TITLE:今日という日を永遠に
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「腕相撲しませんか?」
ティータイム中のヴィルヘルムにそう言うと、ふん、と鼻で笑われた。
「お前が私に勝てるとでも?」
「勝てます」
先程テレビで腕相撲の必勝法を見たのだ。それをジャックくんで試したところ簡単に勝てた。
「ほう。では勝負するか」
真っ白なテーブルの腕で手を組み、私がスタートの合図をする。
ぐぐっと力を込めると、いとも簡単にヴィルヘルムの方へ倒れた。つまり、私の勝ち。
「な……」
「あれ、勝っちゃいましたー」
困惑するヴィルヘルムにドヤ顔で言うと、彼は顔を赤らめもう一回だ、と呟いた。
「いいですよ」
今まで負け続けてきた私にとって、これほど嬉しいことはない。私は調子に乗って何度もやった。もちろん全勝した。
「まだだ」
「じゃあ次、罰ゲーム付けませんか? 明日一日、負けた人が勝った人の言うことを聞くっていうの」
「……よかろう」
また手を組んで、私がスタートの合図をする。そして力を込め倒そうとした、が、なかなか倒れない。それどころかピクリとも動かない。
「あ、れ?」
ヴィルヘルムの顔を盗み見ると、涼しげに笑っている。
「その程度か?」
しまった。なんて思ったときにはもう遅かった。
「負け、た……」
「当たり前だ」
「でもジャックくんには」
「ジャックも手加減したんだろう」
彼はまた鼻で笑った。
「明日が楽しみだ」
明日なんて来なければいいのに
- 4 -
[*←] [→#]